Leonardo Cohen

 

ジョンバエズは良く聴いた。コンサートにも行った。
ボブデイランも良く聴いたものだ。
そのボブデイランがノーヴェル賞に輝いたという。嬉しいことだ。
でも彼らのことは今となってはどうでも良い
レオナルドコーエンの前には誰もかなわない。誰も。
完全に虜になってしまった。
時間さえあればコーエンに聴き入って、心の琴線を揺り動かしている。まるで、10代の女の子のように。
この3曲が私を捉えて離さない。低く響く声、ライヴのヴィデオの画面に映る82歳のコーエンのチャーミングな仕草、特別なオーラ、知的な風貌、悟りを識る落ち着き、包み込むような温かさ、諮詢に満ちた言葉、何かを克服した体験を持つ人に独特の落ち着き、官能的な強い魅力。若年の彼にはほとんど惹かれない。声にも惹かれない。
強い魅力を放つのは80歳から82歳の彼である。
仕事に続く仕事の連続で、いつの間にかそうした日常のリズムを当たり前のものとしていた私の心を突き上げるように深いところから揺すぶって、感情を掘り起こしてくれた恩人である。今なお、彼の歌を聴くたびに涙が流れだす。毎回涙を流すたびに心の中の何かが動き、そして軽くなる。コーエンは治療薬でもある。
完璧な仕立てのシャツとスーツに身を包み、ボルサリーノをかぶって、地面に膝まづいて歌うコーエンの姿には、祈る人の感情がにじみ出ている。
11月7日、ニューヨークにいた私に、コーエンがロサンジェルスで亡くなったというニュースが届いた。
長いインタビューをしたいと思っていた。が、それももう叶わぬ夢となった。それが故に尚更、コーエンは私の心の中に生き続けるはずである。
合掌。