REFLECTION デザイン再考

ネアンデルタール人の時代から10万年が経っている。
その時代から、人類は道具を作り、花を飾り、小さな岩
に座って、より心地の良い暮らしを心がけてきた。
長い年月と共に、人の暮らしの内容も方式も変わり、技術も
変わり、使用できる素材の幅も大いに広がって、人類は
望む暮らしのあり方を各々が選択できるほどに、道具や家具の
製造に力を入れてきた。
椅子、机、車、コンピューター、等々。
10万年というもの、道具と家具を考案し続け、作り続け、
購入し続けてきている。
快適な暮らし、という名目のために。
これはしかしながら、逆に道具や家具によって我々人類の暮らしが
操られているということでもある。

現代の各種の環境の問題、素材の浪費の問題、食料の問題。
これらに脅かされつつ、しかしながらこれらはいずれも我々が
生産し続けてきたことの利子であることを苦い思いで
かみ潰している。
ここに至って、そろそろ、我々は10万年踏襲し続けてきた
手法が問題多き現代そして未来においても有効であるのか否か、
についての考証が必要になっていると思う。

人類は、少し前からすでに、快適さを求める時代から、健康な暮らし、安全な暮らしといった人間の存在を守る時代にある。
健康な暮らし、安全な暮らしとは何かといった、人間の存在を守るという意識が必要な時代にある。

快適さを追求し続けてきたこの10万年から、安全、健康といった人類を
守る時代へ。こうした意識の変革が必要な現実に人類は生きている。
意識の変革がもたらすデザインの方向の変化について敏感になるべきである。

各々が道具や家具を使おうとするにおいて、自分の意識と
判断に照らし合わせる、つまり、自分が自分を守るにおいて、有効な
道具や家具の選択をしていくことが必須となっていくことだろう。

今回の対談シリーズは、こうした意識の変革がもたらす道具や家具のデザイン
の変革を考えるヒントを与えてくれるはずである。

矢島みゆき